第11回公開講座として、堀ちえみさんの講演会が9月16日、飯田文化会館(飯田市高羽町)で行われた。主催は一般社団法人飯田下伊那薬剤師会。公開講座は4年ぶり。
当日は約900人の聴講者が堀さんの話に耳を傾けた。堀さんは1967(昭和42)年、大阪府堺市出身。第6回ホリプロタレントスカウトキャラバンで芸能界入り。1983(昭和58)年に出演したドラマ「スチュワーデス物語」が日本中で大ヒットした。7児の母でありながら、現在はテレビ出演、教育健康にまつわるトークショーをはじめ音楽活動も精力的にこなしている。
堀さんは舌がんのステージ4を宣告された時、「これまでの人生に悔いはないし、手術をして痛い思いをするよりも、何もしないで、緩和ケアを続けた方がいい」と思っていたという。この事を下の2人の子どもらに話をしたところ、今年成人式を迎え、当時高校1年生だった娘に泣かれ、「まだ母親と16年しか一緒にいない。まだまだそばにいたい」と懇願され、「生きよう」と考えを改めたとも。手術をすることで「しゃべる、食べるという、ストレス解消やメンタルに影響するほどの人生の楽しみを失った」としながらも、運命を憎むことや自分を責めることをやめ、前を向いて進むしかないと決心し、少しずつ目標を立てながら4年半、リハビリを続けてきた。
そのかいあって、今年はデビュー40周年+1(プラスワン)のライブを東京・大阪・名古屋で実現し、「生きていたから味わえる楽しみを経験できた。感謝している」と話した。
口腔内の違和感を覚えながらも検査に行かず、がんの発見が遅れたことを教訓にし、「多くの人に自身の経験を話し伝える活動をこれからも続けていきたい」と意気込む。
市内から訪れた同世代の女性は「同世代ながら強く生きていることに感動した」と話し、年配の女性は「素晴らしい話だった。話す事も大変そうなのに、しっかり前を向いて話をされていたのが心に響いた」と話す。
飯田下伊那薬剤師会の木下雅文会長は「病気を患いながら努力して、目標に向かっていく生き方に感動した。今後も長く活躍されることを期待したい。薬剤師も患者に寄り添って一緒に努力していきたい」と話す。