特別展「美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展」が3月25日、飯田市美術博物館(飯田市追手町、TEL 0265-22-8118)で始まった。
近畿・東海地方、長野南部の伊那谷などで活動している学芸員や画廊主などで構成する「美術と風土実行委員」が選出した、同地域で活動する造形作家20人の新作を並べる同展。作家らが伊那谷を訪れ、川や森などの景色と草花や鳥などの動植物など地域の風土に触れ、そこから受けたインスピレーションによって生まれた作品。日本画、洋画、彫刻、版画、工芸現代美術と、さまざまなジャンルの作品がそろう。
同展に参加する京都出身の奥中章人さんは、空気や光、風など、身の回りにありながら見ることができないものを彫刻で表現する。伊那谷の天竜川の河原の石から受けた印象を、フィルムを使って「光」や「空気」を表した。高さ9メートルほどの作品「INTER-WORLD/UPDRAFT」 は、触れたり、中に入ってより乱反射による光を感じたりすることができる。
美術分野学芸員の槇村洋介学芸係長は「ここに暮らす人が気にかけないかもしれないことから、作家たちは想像し作品が生まれている。作品の豊かな彩りや形は、伊那谷の自然の豊かさでもあるし、若い作家たちの持っているものかもしれない。2つが融合している誕生した作品を、美術博物館でぜひ体感していただければ」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館。4月16日まで。その後は巡回展を予定。