南信州リゾート(飯田市松尾新井)が2月19日、信南交通から引き継いだ天竜舟下り事業を「天竜川和船下り」としてプレオープンし、3月末まで観光業者や地元住民らを招待する。本格オープンは4月15日に予定する。
天竜川の舟下りは、1917(大正6)年に遊覧専門の川下りが始まり、飯田市の観光の大きな目玉として運行されていたが、2021年12月、運営会社の信南交通が利用客の減少などを理由に舟下り事業からの撤退を発表し運行を休止していた。その後、事業継承者となった南信州観光公社が、信南交通が分割した舟下り事業を「南信州リゾート」として独立させ子会社化していた。
この日予定していた乗船体験は悪天候のため中止となったが、神事に続いて行われた式典では、飯田市民俗文化財となっている和船の歴史や造船・操船技術の説明が行われた。8人の船頭は運行再開に向けて操船練習や救助訓練を繰り返し行っており、船頭でアクティビティーマネージャーの川村茂雅さんは「再びお客さまを乗せることができてうれしい」と喜びを語った。
社長に就任した阿智昼神観光局(阿智村)の白澤裕次さんは、「何百万人に楽しんでいただいても、一回の事故で積み重ねてきた信用を失ってしまう。まずは安全運航の徹底」とし、「今日のように悪天候で運行できない日が年間60日ほどある。和船や舟下りの伝統を守っていくためにも、ラフティングやVR(仮想現実)での操船体験など、天竜川中流域でのアクティビティーを総合的にアピールし、感動と喜びを提供する使命を果たしていきたい」と意気込みを見せた。
現在は出発地点の弁天港にある受付や事務所などの拠点施設を今後、到着地点の時又港に移し、舟下りの歴史など和船文化を発信するミュージアムやフードコートなどを整備する。名称も、それぞれ「リバーポート弁天」「リバーポート時又」とし、4月15日のグランドオープンに備える。