民俗研究者や地元住民らが2017(平成29)年度から3年間にわたり調査、共同研究してきた県の無形民俗文化財「清内路の手作り花火」についての成果報告会が9月3日、飯田市の鼎文化センター(飯田市鼎中平)で開かれた。
阿智村清内路の手作り花火は江戸時代から伝わり、同村の上清内路と下清内路の両区で、花火師の資格を持つ住民らが自らの手で火薬から製造し、毎年10月、地区内の神社に奉納している。報告会では手作り花火の製造過程や打ち上げの映像記録を上映しながら、歴史や特徴などについて解説した。
上清内路区長で煙火同志会の顧問を務める原満征さんは「市販の火薬は1グラムも使わず、全て手作り。花火をより明るくするため、ヤマツツジを炭の材料にすることを決めている」と話すと、下清内路煙火有志会長の門野祐一さんは「炭の材料はツツジ、サワラ、桐の3種類。火薬をこするときは薬研(やげん)という鉄の道具を使っている」など、それぞれの違いについて補足した。
共同研究は、保存継承を図り、持続可能な地域づくりに役立てることが狙いで、同村でつくる実行委員会の事業として取り組んできた。同実行委員長の熊谷秀樹阿智村長は「約300年続く伝統芸能が途絶えることなく、この伝統文化が永遠に残ることを期待したい」とあいさつ。
報告会では、「南信州の煙火(はなび)文化と清内路の手作り煙火-資産化事業の成果を踏まえて-」と題し民俗研究者の桜井弘人さんが講演したほか、花火製造に関わる地元住民3人が伝統文化継承をテーマに話す座談会を行った。
市内から参加した女性は「清内路の手作り花火は現地で見たことはないが、どの花火も素晴らしく感動した。今度は生で見てみたい」と興奮気味に話していた。