
飯田市出身の現代美術家・林正彦さんの「回顧展 画業50年」が10月17日、「はにかむべーす、文化芸術活動支援センター」(飯田市上郷別府)で始まる。
林さんは1953(昭和28)年、飯田市伊豆木生まれ。1971(昭和46)年に飯田高校卒業後、1982(昭和57)年に伊ペルージャ美術アカデミーを卒業。2008(平成20)年「トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞」入選、2010(平成22)年にはブルガリアで開かれた「国際ペインティング&ミクストメディア・コンペティション」で優秀賞を受賞するなど、国内外で活動してきた。
個展は、1995(平成7)年に飯田市民ギャラリー(飯田美博)で初開催して以降、阿智村のミュー自然美術館、銀座センターポイント、名古屋のギャラリー芳楽、メキシコのロスアルトス美術館など、国内外で展開してきた。
初期は油絵を中心に制作していたが、「絵の具の強さに今一つなじめず、もっと素材感のある色を使いたいと思った」と林さん。イタリア留学中、街の壁の風合いに引かれ、「土を使って描いてみたい」と考えるようになり、その思いを胸に帰国後、表現を模索する中で出合ったのが、地元・飯田市伊賀良地区中村の「中村土」だった。
中村土は「赤みが上品」で「中村壁」として戦前から戦後に茶室や座敷の内壁に用いられてきた。林さんはその土を絵画表現に用い、独自の抽象作品を制作してきた。
今回の回顧展では、初期の油彩から近年の土を使った作品まで55点を展示。30センチほどの小作品から大作まで、時代やテーマごとに構成する。
林さんは「この絵は絵なのかと思われる方もいるかもしれないが、見慣れると『味がある』と言ってもらえる。感覚で見るのも一つの見方。分かりにくければ声をかけてほしい」と話す。
開催時間は9時~18時(最終日は16時まで)。入場無料で、展示作品は販売も行う。10月21日まで。