
自然・人文・美術分野の調査研究や教育普及活動を紹介するイベント「びはく学芸祭2025」の「口頭発表・ポスターセッション」が3月22日、飯田市美術博物館(飯田市追手町)で開催された。
幅広い年代の来館者に楽しんでもらうことを目的とした同イベント。この日、講堂で行われた口頭発表では、同館人文担当の近藤大知学芸員が「『七科約説』を生んだ飯田の医学・本草学-太田用成生誕180年記念特別展より-」、美術担当の小島淳学芸員が「創造の道筋-蓬田亀雄生誕150年記念特別展より-」と題し、本年度の展示を振り返る内容で講演。参加者は熱心に耳を傾けた。
続いてロビーで開かれたポスターセッションでは、各学芸員や研究員、市職員が日頃の成果をポスターにまとめ、来館者に向けて発表した。考古博物館学芸員の加藤大智さんは「長野県下における縄文時代晩期の石鏃(せきぞく)編年」と題し、石鏃の形状や使用法などについて解説。「石の矢尻には、さまざまな形がある中で、どのように木の棒に装着されたのか」などの来館者の質問に、ポスターに記した図解を示しながら応じた。
歴史研究所研究員の岩田会津さんは「明治期地籍図にもとづく旧上郷村の景観復元」と題し、「明治時代の地積図を基にした上郷村の土地利用の様子」について解説した。「田畑と宅地、山林の使い分けが地形に応じて明確だったことが興味深く、より細かな地名を見ると様相がより分かり面白い。開発が進むので土地利用は変わるが、水路は現在の地域生活と関わっている。今につながる面もある」と、考察を述べた。
春休みに帰省し、イベントに合わせて来館したという同市出身の大学1年の学生は「知らなかったことが分かりやすくまとめられていて、担当者が初心者にも丁寧に解説してくれた。しばらく展示もあると聞いたので、また訪れたい」と話していた。
ポスター展示は3月30日まで同館ロビーで行う。ロビーは入館無料。月曜休館。