豊丘村観光協会「とよおか旅時間」の中尾駿太さんと小椋史敏さんが昨年12月25日、「JCGA(日本サイクリング協会)公認ガイド」の資格を取得した。以前から資格を持つ矢野智志さんと合わせ、3人体制になった。
中尾さんは北九州出身で、2023年4月から同協会に地域おこし協力隊として勤務している。2016(平成28)年にロードバイクに乗り始め、2013(平成25)年11月に長崎県へのサイクリングツアーに参加し、地元の魅力を自転車で紹介することに魅了されたという。「午前は断崖絶壁を走り、午後は海岸沿いを走るコース。コンテンツの生かし方やルートの工夫に興味を持った」と振り返る。
小椋さんは同村出身で、飯田風越高校を卒業。高校時代は片道8キロの距離を自転車で通学し、自転車愛好会にも所属し競技大会への出場経験もある。高校卒業後は金沢の自転車整備専門学校で学び、東京などで自転車販売の仕事に就いた。金沢のプロショップでメカニックとして勤務した後、2023年にUターンし、9月に同協会に加わった。
資格試験は昨年11月に座学と講習、12月に実技講習と検定が行われ、25日に合格通知が届いた。試験では、ツアー開始前に参加者へ安全な自転車操作や交通ルール、緊急時の対応を伝える「ブリーフィング」やパンク修理実技、ガイド技術に関する筆記試験などが課された。最終日には松本市内8キロのコースで、ガイド役としての実技検定も行われた。
中尾さんは「交通量が多く、信号機も多い厳しい環境での実技で、高いレベル内容を求められる試験だった。合格したことで、どんなツアーにも対応できる自信がついた」と話す。矢野さんは「サイクリングツアーは資格がなくても実施できるが、ツアー参加者の安全を大前提として企画を広げていける。3人ガイドがいるのは県内でもここだけ。ガイドの個性を生かしたツアー作りを拡大していきたい」と話す。
小椋さんは「幼い頃から乗っていた自転車のおかげで行動範囲が広がり、人とのつながり広がり楽しみも深まった。てっぺん公園や河岸段丘、伊那谷の風景など、自転車を通すと見える景色が変わる」、中尾さんは「自転車旅での人や景色との出合い。福岡から広島、しまなみ海道の眺め『夕日で燃えるような橋』は『トンカチで殴られたような衝撃』を受けた」と、自転車の魅力をそれぞれ口にする。
「公認ガイドに認定され身が引き締まる思いと、プレッシャーも感じる。豊丘の四季折々の風景や、季節食材の魅力を、自転車を通して伝えられるようになり、より面白いコンテンツ作りに挑戦したい」と2人は意気込む。