飯田市北方にあるニットカフェ「Tree house(ツリーハウス)」が11月1日で5周年を迎えた。カフェの営業に加えて、午後の時間帯を利用し、来店者が編み物を楽しめる場を提供している同店。
店主の伊藤昭子さんが自ら手作りするランチやスイーツも人気を集めている。

厳選した材料で焼き上げたケーキに、生クリームには隠し味を添えてフレッシュな柿を合わせて仕上げた「ロールケーキ」は、14時からの編み物レッスンのブレイクタイムに ※メニューは季節によって変わります

国道256号沿い「ニットカフェ Tree house」で、編み物を習ったり、食事やお茶をしたり、ゆっくりと時間を過ごす
伊藤さんは日本手芸普及協会の棒針編み・かぎ針編み指導員の資格を持ち、手芸店での勤務を経て独立。編み物とカフェを組み合わせた空間を立ち上げた。地域作家による手芸品の販売や、敷地内に設けたギャラリーの貸し出しも行っており、「編み物を通じた交流と文化の発信」をテーマに、5年間、活動を続けてきた。
節目を迎えた今、改めてこれまでの歩みや思いを伊藤さんに聞いた。
― 開業から5周年を迎えました。これまでを振り返ってどう感じますか。
「お客さまや周囲の皆さまに励まされながら、気づけば5年がたっていました。編み物が持つ魅力や手作りの良さを伝えたいという気持ちは今も変わっていません」 ―ニットカフェの仕組みについて教えてください。 「14時以降をニットカフェの時間としていて、ケーキとドリンクが付いたフリータイム制(1,500円)で編み物を指導しています。作りたいものがある方にはそれに合わせてサポートし、初めての方にも一から教えています」

「ニットカフェ Tree house」店内では、編み物や洋裁などの作品を展示販売
― 編み物の魅力とは、どのような点にあると感じていますか。
「学校の家庭科では編み物を学ぶ機会が少なくなりましたが、編み物は手を動かしながら集中でき、完成したときには大きな達成感があります。一日の終わりに好きなことをしながら気持ちを整える、そんな時間としてもお勧めです」
― カフェとしての食事メニューも教えてください。
「日替わりランチ(900円)やキッシュセット、ホットサンドセット(以上950円)などを用意しています。全て私の手作りで、地元産の野菜や果物、信頼できる生産者から取り寄せた卵など、食材も厳選しています。チーズケーキやシフォンケーキなどのスイーツ(各350円)も用意しています」 ―店内では作品の展示や販売も行っていますね。 「開店当初から、地域の作家さんの編み物や縫い物の小物、洋服などを販売してきました。年々、参加作家さんの数も増えています。併せて、自分が作品を愛する画家・北村月香さんの絵を展示したくて、敷地内にギャラリー『Artist shed(アーティスト・シェッド)』も建てました。現在は1日3,000円で貸し出しています」

飯田市出身の画家、北村月香さんの作品を展示したいとの思いで「Artist shed」。2025年10月からギャラリーやワークショップの場所として貸し出しも始まった
― 今後の展望について教えてください。
「これからも、編み物や手仕事のある暮らしを楽しめる場所でありたいと思います。少しでも多くの方に、編み物の魅力に触れてもらえたらうれしいです」

画家:北村月香さんの作品を背景に。
店内に月替わりに展示する「編み物で仕上げたウェルカムボード」を手に、
編み物の魅力を紹介する伊藤さん
営業時間は10時~16時ごろ。木曜定休。