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飯田市美術博物館でトピック展示「りんご並木と田中芳男」 

市内から美術博物館へ出かけてきた親子

市内から美術博物館へ出かけてきた親子

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 文化トピック展示「りんご並木と田中芳男 『りんご並木の町飯田』 誕生」の展示が飯田市美術博物館(飯田市追手町、TEL 0265-22-8118)で3月15日、始まった。

4月下旬頃に開花時期を迎える現在の「りんご並木」

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 飯田市街地に約400 メートル続くリンゴの並木通り「りんご並木」のリンゴの木は1953(昭和28)年に植えられ、今年で70年の節目を迎える。それに合わせ、「飯田大火からの復興」「りんご並木」「田中芳男」を紹介するのが同展。

 1947(昭和22)年に発生し、市の中心部の7割を焼失した「飯田大火」の復興の過程で、同市立飯田東中学校の生徒たちの提案で、防火帯の緑地帯として「りんご並木」が作られ、現在まで生徒と地域の人々の手で育てられている。同展では飯田大火の映像や、大火後の市内の様子の写真、1955(昭和30)年~2019年に記された同中生徒による「観察日誌」など、「りんご並木」が作られるまでの流れや地域との関わりをパネルも交えて紹介する。

 同館学芸員の織田顕行さんは「リンゴは並木に向いていないのでは、実が盗まれるのでは、などの反対意見もあった中、復興からのまちづくりに中学生が参加するのはすごいこと。植えられた当時は町の一部だった『りんご並木』が、生徒と地域の皆さんの手入れのおかげで、今では町のシンボル的な存在になっている」と話す。

 今回はリンゴつながりで、同市出身の田中芳男を紹介する。幕末から明治期にかけて、学術的に動植物などの研究を重ね「博物館の父」と呼ばれる一方、人々の暮らしがより豊かになるようにと考え、農作物を栽培しやすくするための研究を行い、国内に広めることにも取り組んだ。「西洋リンゴ」をおいしいと感じ、国内に栽培を紹介したのも田中芳男で、幕府や新政府で役人としての功績を歴史的資料と併せて紹介する。

 県外から同館を訪れた女性は「博物館が好きで、さまざまな場所で見ている。展示が分かりやすく見応えがある」と展示を見ながら笑顔で話していた。織田さんは「西洋リンゴを広めたのは、田中芳男の取り組みのほんの一部。『りんご並木』70年の節目に、展示を通して『田中芳男』『飯田大火』『りんご並木』のそれぞれに、ゆっくり触れていただけたら」と来館を呼びかける。

開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日休館)。観覧料は、一般=400円、高校生=300円、小中学生=200円。6月4日まで。

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