喬木村富田地区で養蜂に取り組む養蜂家、元島秀紀さんが今シーズンの養蜂作業を始めた。蜂蜜ブランド「森の秘密」として展開する生蜂蜜の春の採蜜に向け、ミツバチの群れの育成を進めている。
春は「春霞」、初夏は「針槐」(ハリエンジュ)、夏は「夏蛍」、秋は「秋月」、採蜜時期ごとの花の違いによる風味を生かす
養蜂場では現在、1段から2段の巣箱を10箱設置し、1箱当たり3万~4万匹のミツバチを飼育する。ミツバチが春の花の開花に合わせて採蜜できるよう、元島さんが巣箱内の環境を整えながら群れを大きくしている段階だという。
元島さんは小学生の頃、図鑑で見た蜂蜜の美しさが印象に残っているといい、「無意識の中の原点」と振り返る。大学進学と就職で一度県外へ出た後、父の故郷である同村にUターン。「喬木の花からミツバチが集めた蜂蜜を食べてみたい」との思いで2018(平成30)年に養蜂を始めた。
当初は販売を目的とせず、希望者に配り、「おいしいと言ってもらえるのがうれしかった」と振り返る。収穫量が増えたことから昨年はイベント出店も試みた。職場の同僚、安田良純さんの提案でSNSでの情報発信や販路開拓、ブランド化に取り組み、初めての春を迎える。
非加熱で瓶詰めする「生蜂蜜」を展開。春は桜やレンゲ、ハナモモ、菜の花などを中心とした「春霞」、初夏はアカシア「針槐」(ハリエンジュ)、夏はエゴノキやシナノキ、栗などを含む「夏蛍」、秋は萩やサルスベリなどから採れる「秋月」と、タンクごとに分けて管理することで、採蜜時期ごとの花の違いによる風味を生かす。
ブランド名は、自然豊かな森の奥まった場所と蜂蜜の「蜜」を掛け合わせて命名。ラベルは元島さんの知人で画家の菅沼昭彦さんが手がけ、菜の花と中央アルプスを背景にした伊那谷の風景を描く。
元島さんは「蜂蜜を食べたいと思う方に届けられるようになったのは、周囲の応援や手助けのおかげ。『春霞』は昨年搾ったものが底を突きそう。ミツバチが喬木の花々から蜜を集めてくれるよう巣を整えている。もともと商売のつもりはなかったが、商品開発にも少しずつ取り組んでいる」と話す。
オンラインの他、エスバード(飯田市座光寺)の南信州まるごとショップ おいでなんしょ、農産物直売所「あざれあ」(龍江)などで販売。