「蔵を知り、酒を愉(たの)しむ」イベントが1月31日、飯田で唯一の酒蔵「喜久水酒造」(飯田市切石)で行われた。主催は飯田勤労者共済会。
当日は飯田勤労者共済会の会員企業から26人が参加。初めに喜久水酒造の後藤高一社長が酒蔵の歴史を説明。戦時下の企業整備令により飯田下伊那の蔵元37軒が飯田酒造組合を結成して今も残る南信州唯一の酒蔵。銘柄の「喜久水」は飯田藩の堀親将公が長州遠征の際、畿内の守りとして湊川神社の付近の警護に当たり、楠木正成公の分霊を迎え酒造家の敷地にまつったことから、楠木家の家紋である菊の御紋に水から「キクスイ」とした話や、長野県内で3蔵のみが扱う酒米「たかね錦」の復活のストーリーに耳を傾けた。多種多様な酒の製造や平安時代から酒造りを行う恵まれた環境にあることなども特徴に挙げた。
酒蔵見学では、同社の濱島光宏管理部長が実際に精米から仕込み中の酒母やこうじ、もろみの工程を説明。同社直営店「翠嶂館」では、搾りたての「厳寒搾り純米大吟醸」の原酒や、「白貴天龍」の生原酒を試飲した。
会場を「ビーラクスマツカワ」に移し、「たかね錦」を使って醸した新ブランド酒の純米大吟醸、吟醸生原酒「厳寒搾り」、純米吟醸生原酒「初穂しずく」、扁平(へんぺい)精米の黒純米、キクスイシードルの5種類を、精米歩合や造りの違いなどを見ながら飲み比べ、料理とのマリアージュも楽しんだ。
イベントを企画した同会事務局次長の田中真さんは「今回で3回目。募集人員を超える応募がありうれしかった。座学も真剣に聞き入り、酒好きの会員の皆さんにしっかり楽しんでもらえたのでは」と話す。
参加した島崎智美さんは「飲み比べを楽しみに来たが、工場見学や酒蔵の歴史など知らないことを学べた。2種類の生原酒の味が良かった」と振り返る。