長野キッチンカーネットワークが12月11日、エス・バード(飯田市座光寺)で「防災とキッチンカーの可能性」をテーマにミニシンポジウムを開催し、日本キッチンカー経営審議会の長野支部としての正式に動き始めた。
長野キッチンカーネットワークは、キッチンカー「夢mama号」(鼎下山)を運営する北村裕美さんが代表を務める。5年前からキッチンカー仲間とLINEグループで情報を共有してきたが、今後「防災」という観点も考えた中で組織化を図った。現在30事業者ほどがネットワークの会員になっているが、組織内に防災部会を立ち上げ11社が参加する。
日本キッチンカー経営審議会は、キッチンカー事業者の地位向上を目指す団体として、能登半島地震の際、キッチンカーをボランティア派遣し、21万食を無償で提供した実績が注目を浴びた。その後、内閣府からの支援を受けながら全国で活動し、国や自治体からの要請に基づく派遣時には日当や材料費が提供される仕組みを構築している。
当日のシンポジウムでは同審議会の山口純司会長が基調講演を行い、災害時にキッチンカーが支援できること、今後の可能性などに触れ、北村裕美さんらが、この地域の防災とキッチンカーの取り組みの事例紹介などを行った。併せて長野キッチンカーネットワークの設立と日本キッチンカー経営審議会長野支部としての締結式を行った。
今回の締結式では、同ネットワークが同審議会の長野支部としての機能を担うことで、大規模災害時に国からの要請により被災地にキッチンカーを派遣。長野県内で被災した場合、他地域のキッチンカーに支援してもらうことなどが実現する。
北村さんは以前からキッチンカーを防災で活用すること考えており、「お食事処夢」の店舗がある鼎下山区とキッチンカーを活用する協定を独自に結ぶ。「キッチンカーの社会的地位向上のためにも、防災・減災の取り組みを真剣に考えたい」と話す北村さん。今後は、「具体的な防災訓練の実施など、意識の向上を楽しみながら学べる場所を提供していきたい。地元の行政とも協定を結びたい」と意気込む。