食べる

101周年の餅菓子店「三吉野」、飯田市から長寿企業表彰

(左から)吉野昌子さん、隆さん、玲子さん

(左から)吉野昌子さん、隆さん、玲子さん

  • 0

  •  

 飯田の餅菓子店「三吉野」(飯田市常盤町)が10月1日、飯田市から「令和7年度飯田市長寿企業顕彰」を受けた。表彰式では、4代目店主の吉野隆さんが受賞者代表として表彰状を受け取った。

飯田銀座で営業してた頃の「三吉野」

[広告]

 同店は、飯田市上川路出身の創業者・吉野圓治郎さんが東京で菓子修業を重ね、深川で店を構えた。1923(大正12)年の関東大震災に見舞われて帰郷し、親類縁者の協力を得て1924(大正13)年6月、飯田銀座5丁目に開業。戦中・戦後の混乱期を経て、1947(昭和22)年の飯田大火では市街地の約4分の3が焼失し、2代目の昌司さんは薬を持ち出すのがやっとの状況の中、バラックの仮店舗で営業を再開したという。

 みたらし団子を看板商品に、銀座時代はバスターミナルに近い立地から、待ち時間や手土産用に同店の菓子が利用されていた。1966(昭和41)年にバスターミナルが常盤町に移転したことに合わせ、店舗も現在の場所へ移転した。

 現在は、3代目の満さん夫婦と4代目の隆さん夫婦が中心となり、2世帯で営業。店頭には、切り餅、大福や草餅などの餅類、ごま団子やあやめ団子などの団子類、桜餅やわらび餅、餅屋の葛アイスや栗粉餅などの季節の和菓子、いなりずしや巻きずしなどのご飯類と、常時10種類ほどをそろえる。

 冠婚葬祭や地域の集まりでは、飯田地域で昔から親しまれてきたあんころ餅や巻きずしの注文が多く、隆さんは「家庭で作ることが以前より少なくなった分、注文が多くあった」と話す。コロナ禍では、これらの注文が全てなくなった時期に、「およりてふぁーむ農産物直売所」(鼎東鼎)や「なみきマーケット」(本町)」などに商品を置かせてもらい、現在も両店での販売を続けているという。「ありがたいこと」と振り返る。

 表彰の知らせをインスタグラムなどで知り、来店した客からは、「40年ぶりに来た。みたらし団子、懐かしい」「ちょっと東京から帰ってきた。久しぶりに寄って、変わらずあって、うれしい」などの声も聞かれた。

 幼少期には店舗2階を住居としていたという隆さんは「早朝から両親が菓子を作る姿を見てきた。続けることは大変なこと。初代から三代目までの家族の努力と、地元の皆さまの支えがあって今がある。今までの三吉野を守りつつ、攻めつつ、精進していく」と前を向く。

 営業時間は9時~17時。水曜定休。

ピックアップ

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース