古民家食堂「豊坂屋」(飯田市上村程野、 TEL 0260‐31‐0506)がオープンして、10月25日でオープン1カ月がたつ。
店主の前島良太さんは飯田市鼎生まれの松尾育ち。高校卒業後、リハビリ系の専門学校へ進学。21歳の時に地元へ戻り、接客業や営業、工場などさまざまな仕事を経験。学生時代に居酒屋やラーメン店の厨房でアルバイトをしていたが、当時は自分の店を持つことは考えていなかったという。
「体調面に不安があり、仕事が手につかない時期があった」と良太さん。リフレッシュも兼ね祖父母らが住んでいた古民家を訪れた際、母親が店を開きたいと話をしていたことを思い出し、陽子さんに古民家を活用した店を開くことを相談。4月~9月の半年間、良太さんほぼ一人で改修を行い、開店にこぎ着けた。
「古民家に残されたものを生かし、おばあちゃん家(ち)にいるような雰囲気を出したかった」と良太さんは話す。改修作業の際、野生動物の侵入を防ぐため天井裏を確認したところ、立派な梁(はり)があることが判明。天井板を全て外し梁が目立つようにしたほか、テーブルや食器、木製お盆などは古民家にあるものを活用。座布団は陽子さんがカバーを手縫いしリメークした。
店名は屋号に由来し、良太さんは「店を開くに当たり『豊坂屋』以外、思いつかなかった」と振り返る。同店では、地域の食材や郷土料理、手作り総菜小鉢などを提供。中でも「三角ずし」(2個300円)や「そばいなり」(150円)は上村に伝わる郷土料理で、注文する客も多いという。
定食は4種を用意。豊坂屋定食(1,800円)は、三角ずしや野菜の天ぷら、ミニそば、ねぎだれおでんなど8品から成り、食材は季節により変わる。このほか、鹿カツ・から揚げ定食(2,200円)、清水屋(上村上町)のマトンを使った「焼き肉定食」、川魚の南蛮漬け定食(1,500円)をそろえる。
良太さんは「上村を含めた遠山地区に来たことがない人がまだまだたくさんいる。長期休暇で祖父母の家に遊びに来る感覚で足を運んで、家庭の味、郷土料理を味わってほしい」と呼びかける。
営業時間は10時~16時。木曜定休(臨時休業あり)。