
陶芸家・川手敏雄さんによる作品展「青藍洞築窯50年展」が10月26日、自宅兼工房の青藍洞窯(飯田市千代)で始まる。
川手さんは1949(昭和24)年、埼玉県羽生市生まれ。関東学院大学工業化学科を1972(昭和47)年に卒業後、会社員として3年間勤務した。学生時代、下宿先の近くにあった鎌倉市の骨董店で陶器に触れたことをきっかけに焼き物に興味を持ったという。子どもの頃には、自宅のかまどの火を炊く母の姿を見たり、火の番をしたりするのが好きだったことも焼き物への関心につながったという。
1975(昭和50)年飯田市へ移住した当時、千代地区の陶芸家・水野英男さんの窯だきを手伝うなどしながら技術を間近で見るうちに、「こういうことで生計が成り立てばいい」と陶芸の道へ進むことを決めた。同年、自宅敷地内に初めての登り窯を築いた。織部や志野焼を得意とする加藤唐九郎・重高さんに師事したほか、1994(平成6)年には滋賀県立「陶芸の森」で研修を受けるなど研さんを重ねてきた。
これまでに築いた窯は6基を数え、1基目が登り窯、2基目が灯油とまきを併用する窯、3基目が穴窯、4基目が再び登り窯。現在は5基目の「いってこい窯」をメインに使い、6基目となる新たな「いってこい窯」を今年8月に完成させた。今月12日に初窯だきを行い、今回の展示ではその新作も披露する。
展示作品は約70点。一昨年、フランスで現地の土を使い、制作から焼成まで行った作品も並べる。川手さんは「プロが造った窯は手直しが難しいが、自作の窯なら改良を重ねながら焼きの変化を楽しめる」と話す。陶芸歴50年を迎え、「制作を続ける中で、さまざまな表現が生まれてきた」と振り返る。
開催時間は10時~17時。入場無料。会場では作品の販売も行う。10月31日まで。