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飯田で「今田人形」ろうそく公演 幻想的な明かりで観客を魅了

今田人形の館での「ろうそく公演」

今田人形の館での「ろうそく公演」

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 大宮八幡宮秋季例祭「人形浄瑠璃芝居今田人形奉納公演」が10月11日・12日、今田人形の館(飯田市龍江)で行われた。

戎舞

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 龍江地区に伝わる今田人形は約320年の歴史があり、今年は、1975(昭和50)年、黒田人形(上郷黒田)、早稲田人形(阿南町早稲田)と共に「国重要無形民俗文化財」に指定されてから50年の節目を迎えた。

 11日夜のろうそく公演は37年続く人気の公演で、地元をはじめ県内外から約60人が来場。和ろうそくの幻想的な明かりに照らされながらの人形浄瑠璃に見入っていた。同公演の「戎舞(えびすまい)」「傾城阿波鳴門 順礼歌の段」「日高川入相花王(いりあいざくら)渡し場の段」までは、ろうそくの明かりに加え、照明を30%ほどに絞り、最後の「伊達娘恋緋鹿子(こいのひがのこ)火見櫓(やぐら)の段」は、ろうそくの明かりのみで演じた。

 幕あいで「毎年、戎舞の口上を楽しみにしている」と飯田市の熊谷邦千加教育長があいさつ。えびす様が「デジタル化やAIが進みついていけない」「SNSによる詐欺には注意」「物価高などでこの先の生活は大丈夫か」などの時事ネタを面白おかしく挟みながら一杯ずつ酒を飲むシーンでは、会場からも笑いが起きた。

 文楽が好きで、大阪から来場した岩宮真理さんは「3回目の観劇だが、ろうそく公演は2回目。特に最後の演目で、ろうそくの明かりが火見櫓とお七を照らし、そこに雪が降るシーンは印象に残り、いつ見ても感動する」と振り返る。

 子どもの頃から公演を見ているという地区内の女性は「最初から最後まで見たのは初めて。ろうそく公演は趣もあり感慨深い」と振り返り、「今回の公演は県外からも来ていると聞いた。これからもしっかり継承し保存していくことが大事」とも話した。

 12日は昼公演として、同館で「二人三番叟(ににんさんばそう)」「日高川入相花王(いりあいざくら)渡し場の段」を上演し、最後は、えびす様がタイを釣るシーンがあり、「めでたい」という意味も込め「戎舞」で締めくくった。

 今田人形座は11月9日、黒田人形浄瑠璃伝承館(上郷黒田)で開催の「伊那人形芝居公演」にも出演する。

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