
飯田の地酒「喜久水」を学び楽しむ日本酒の会「SusTaiN35(サステインサーティーファイブ) Season3~『和』をもって日本酒の輪を広げよう! 受け継がれる伝統の日本酒造り~」が10月4日、「舞鶴」(飯田市追手町)で開催された。主催は喜久水酒造(鼎切石)、企画は飯田エフエム放送(常盤町)。
当日は県内外から30人が参加。冒頭のミニセミナーではユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統の日本酒造り」をテーマに、喜久水酒造営業部長の下澤淳志さんが、並行複発酵の技術を紹介したり、地域の年中行事や生活様式との日本酒の関りなどを紹介したりするなどし、参加者は日本酒の知識を深めた。
会場となった舞鶴は2021年に倒産した後、かつて飯田の街をにぎわせた花街文化を残すため木下建設(松尾町)が購入し、場所貸しなどを行っている。料理は提供できないため、和食「山栄」(知久町)がサバのへしこやサワラの西京焼き、和牛ローストなど日本酒に合わせたつまみの和食膳とマツタケの吸い物を提供した。
酒は、同社が創業当時に使っていた銘柄「七3つの喜ぶ」のキクスイを復活させた新ブランドの酒を中心に、同日本酒の会のネーミングの元となった「N35テロワール」やキーケグで提供する「純米吟醸生原酒」、にごり酒「白貴天龍」など9種を提供。参加者らは酒の香りや味わいを確かめながら、和食とのマッチングを楽しんだ。
同社新ブランド酒のラベル文字を担当したイラスト書道家「和全」さんが書道パフォーマンスも披露。金と黒色のモノトーンで、龍と稲穂の絵に「喜」という文字を力強く描き、参加者らは15分間の静寂の中、固唾(かたず)をのんで見守った。
栃木県から訪れた島田将徳さんは「喜久水を身近に感じるイベントで毎年参加している。ハモの天ぷらやサバのへしこは日本酒に合うし、吟醸の熱かんを冷と飲み比べるなど日本酒の奥深さを楽しめた」、地元から参加の池浦毅さんは「どれも食事に合う酒。出品用の特別醸造酒が一番印象に残った」とそれぞれ感想を話していた。
最後に喜久水酒造の後藤高一社長は「和全さんには素晴らしい書を描いていただいたので、当社ショールーム『翠嶂館』に飾る予定。これからも頑張って、いい酒造りをしていきたい」とあいさつで述べた。