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涼風の盆景 阿南で2つのユネスコ無形文化遺産「風流踊り」

「和合の念仏踊り」と「新野の盆踊り」

「和合の念仏踊り」と「新野の盆踊り」

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 国重要無形民俗文化財でユネスコ無形文化遺産「風流踊り」の一つ「和合の念仏踊り」(阿南町和合)が8月13日、「新野の盆踊り」(阿南町新野)が翌14日、それぞれ始まった。

「新野の盆踊り」櫓を中心に踊りの輪ができる

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 和合の念仏踊りは阿南町和合地区で約300年続くお盆の念仏踊りで、毎年8月13日~16日に行われる。2023年にユネスコ無形文化遺産「風流踊り」として登録された。今年は大坂関西万博での踊りの披露や、「第45回伝統文化ポーラ賞」の地域賞を受賞。13日は熊野神社で始まり、大屋の宮下家、林松寺と巡った。14日は林松寺の境内に涼やかな風が吹く中、「庭入り」では、ヤッコ、花などの行列に続き、鐘や太鼓の音が里山に響き、「ヤートーセー」のかけ声とともにヒッチキと呼ばれる若い踊り手が2人1組で激しく体をぶつけ合いながら飛び回った。その後、厳かな「念仏」「和讃(わさん)」の声と太鼓の音が和合の山あいに響いた。ヒッチキ役として参加した高校生の小掠哲生さんは「疲れた。長く続いてきたものなので、外に出てもお盆には帰ってきて踊りたい」と話す。同踊り保存会の平松三武会長は「山村留学などで移住してきた若い人たちが参加してくれうれしい。万博は30分に凝縮して披露することができた」と振り返る。愛知県から写真を撮りに訪れた男性は「初めて見たが、国の文化財だけあって、なかなか見ることができない踊りで良かった」と感想を話した。

 新野の盆踊りは、阿南町新野地区で室町時代から約500年続く「風流踊」とされる盆踊りで、毎年8月14日~16日の夜から早朝まで踊り明かす。100種類以上あるという盆唄は太鼓などの鳴り物を使わず、櫓(やぐら)の上で音頭を取る5、6人の「音頭出し」が交代で歌いつなぐ。14日21時、目抜き通りに集まった住民らが盆唄に合わせ「すくいさ」といわれる踊りで静かに始まった。浴衣姿の人など老若男女約150人が踊りの輪を作り、会話やあいさつを交えゆったりとした時間が過ぎる。扇子を持って踊るものを含め7種類をランダム踊り、早朝6時まで続く。同保存会の林弥寿雄会長は「毎年お盆前後は雨の日が多いが、今年は晴天に恵まれそうで良かった。伝統を受け継いでくれる人がもう少しいてくれるとうれしい」と話す。最後の17日早朝には、鐘と太鼓を打ちながら精霊を送り出す行事を行った。

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