
JR東海が8月1日、飯田線の川路駅から宮木駅間を走るワンマン列車で、無人駅で下車する際の運賃支払いにスマートフォン決済アプリ「PayPay(ペイペイ)」を使う実証実験を始めた。
飯田線では、豊橋駅~本長篠駅がTOICA利用エリアで、それ以外の駅では電子決済を行っていない。これまで飯田線のワンマン列車(上下11本)は乗車口下車口ともに1カ所のみ。無人駅で乗車する際に整理券を取って乗車。下車の際は運転士が乗客から運賃を受け取るため時間がかかり、しばしば運行が遅れることもあるという。実証実験では、乗客が下車時にペイペイを使う旨を申し出て、運転士が提示するQRコードを読み取り、金額を入力して決済する。乗車駅の確認は必要になるが、両替や釣りなど現金のやりとりが省けるため乗務員の業務軽減や乗客の利便性向上が見込める。10月末まで列車運行への影響を見極める。
初日は、下市田駅で降車の際、支払いに時間がかかる場面も見られた。元善光寺駅では生徒の利用が多く、定期券を見せることで降車するが、降車客が多く、現金の授受が複数人になると停車時間が長引く傾向にある。
同社広報部の担当者は「現金授受の際、高額紙幣を利用する場合に不便をかけている。その対応策としてペイペイの有用性を検証したい。実験区間は無人駅が連続してあり実証実験の区間に選んだ」と話す。「当社でQR決済を行うのは今回が初めて」とも。
期間中も現金支払いは可能。車掌が乗務する列車や、駅員がいる飯田駅と伊那市駅は対象外となる。