
ガラス作家・目黒芳枝さんの作品展「Yosie Meguro Glass Exhibition 2025 深海ラボ」が8月1日、アートハウス(飯田市上郷黒田)で始まった。
目黒さんは、かつて理化学ガラス機器の職人として冷却器や三ツ口フラスコを作っていた経験を持ち、現在はその技術と同じ耐熱ガラス素材を用いて、オブジェやオーナメント、日常使いの器やアクセサリーなどを制作する。今回の展示では約50点の作品を並べる。
モチーフは海の生き物たち。中でも目黒さんが特に魅力を感じたのは「タコブネ」。雌が貝殻を持って運ぶ特性があり、「泳ぐのが苦手で、クラゲなどに乗って海の中を移動する。その大着な姿がいとおしく、タコブネを作りたいと強く感じた」と話す。
一方、「既にタコブネをモチーフにしている作家がいる中で、『自分が作る意味は何か』と模索した」と制作への姿勢を見直す契機にもなったという。数多くの試作を重ね、家族からの「少し違うのでは」といった客観的な意見にも耳を傾けながら、完成までに苦労を重ねたと振り返る。
作品の中にはガラスのカプセルに収めたものもあり、「今までの作品同様、発展の可能性を感じる」と展示を前に話す。展示には、オーストラリアハイギョ、リュウグウノツカイ、イカ、タツノオトシゴ、クラゲといった深海の生物に加え、ミモザの黄、水しぶきの青、花火の赤、ニラの花の緑色など、身近な植物や自然の色からも着想を得た作品が並ぶ。
作品を購入した来場者から「サンキャッチャーにライトを当てると夜なども楽しめる」との声もあり、今回はその意見を取り入れて展示演出も工夫したという。目黒さんは「作品への声もうれしい。多くの方に立ち寄ってほしい」と来場を呼びかける。
開催時間は10時~20時(最終日は17時まで)。8月5日まで。