
標高3000メートル級の山々が連なる南アルプスをテーマに、展示室では冷気と鳥のさえずりを用いて高山帯の雰囲気を再現。メボソムシクイやジョウビタキの鳴き声を流し、四季折々の風景を映す大型スクリーンも設置する。担当学芸員の四方圭一郎さんは「山に登ったかのような景色を眺めることができる」と話す。
展示では、近代化が進む明治期末の120年前に始まった南アルプスでの博物学研究の様子を、当時の写真やパネル、標本などで紹介。信仰や狩猟が主だった山との関わりが、ヨーロッパからの登山文化の流入により、学術的な調査へと変わっていった歴史をたどる。
8月には関連イベントも行う。9日・10日には「南アルプスクイズラリー」を行い、正解者にはオリジナル・カプセルトイを用意する。
22日18時30分からは、四方さんによるミニ講座と展示解説会を開催。定員は先着30人。参加には観覧料(一般310円、小中高校生無料)が必要。申し込みは8月6日から電話で受け付ける。
23日13時30分からは、記念講演会とミニシンポジウム「高山の生き物の魅力と地球温暖化」を開く。講師は長野県環境保全研究所の尾関雅章さん、浜田崇さん、同館の四方さん。定員は、会場参加=は先着60人(先着順)、オンライン=は90人まで。オンライン申し込みは7月23日から美術博物同館ホームページで、会場参加は8月6日から電話で受け付ける。聴講料は無料。
展示室では、同館が行っている最新の研究成果も紹介。2021年7月に53年ぶりに再発見された「キタダケヨトウ」の標本も展示し、「美術博物館の挑戦の象徴」と四方さん。地球温暖化の影響にも触れ、「今、さまざまなことを記録しておくことが非常に重要」と、四方さんは話す。
「現地に足を運ぶのが理想だが、ここに来ても山の雰囲気を感じてもらえる。涼しい館内で、鳥のさえずりや風景とともに、登山気分を味わってほしい」と来館を呼びかける。
開館時間は9時30分~16時30分。会期中の休館日は8月4日、12日、18日、25日。入館料は一般310円、高校生以下無料。会期は8月31日まで。