
店主の病気で2024年2月から休業していた喫茶店「黒金屋(くろがねや)」(飯田市銀座)が6月18日、金曜・土曜・日曜限定で営業を再開してから2カ月がたち、今月には夏の人気メニュー「かき氷」の提供も始めた。
黒金屋は約70年前に金物店として創業したのが始まり。近くには映画館やバスターミナルがあったことから、待合所として喫茶店に業態変更してコーヒーなどを提供。東京の飲食店で修業していた手塚友一(ともかず)さんが戻り、オムライスなどの食事を提供し始め、街の憩いの場所になっていた。店主の友一さんが昨年6月に亡くなり、妻のみずほさんが引き継いだ形で店の明かりが戻った。
今年4月18日、営業日数とメニューを絞って店を営業再開。友一さんと店を切り盛りしていた頃は厨房に立ったことはなく、レシピも残っていなかったため、メニューはドリンクと「昔カレー」、サンドイッチに限定。看板メニューの昔カレーは、病床にいた友一さんから作り方を教えてもらったという。常連客に味を聞きながら修正を重ねた。今月に入り夏の人気メニューだった「かき氷」の提供も再開。天然アンズは友一さんが生前に仕込んだものが残っていたが、みずほさんは「食べてもらった方が喜ぶのでは」と客の注文に対応した。
みずほさんは、「近所の人から再開を望む声もあり、喫茶だけなら自分でもできるかなと思ったが、不安もあった」と再開までの思いを話す。「大学進学を目指していた息子が進路を変え、調理専門学校に進んだことも後押しした」とも。店を再開して2カ月、みずほさんは「ようやく仕込みの量など分かってきた」と話す。6月7日に1周忌を終え、「あっという間の1年。友一さんならどうするかな? とか考えながらやってきた」と振り返る。「来てくれた人に喜んでもらえるよう、一歩ずつ進んでいきたい。友一さんのやってきたことを引き継ぎながら、新しいことにも挑戦したい」と前を向く。
営業は、金曜・土曜・日曜の10時~18時。