
自転車の国際ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン2025(以下TOJ)綿半信州飯田ステージ」が5月22日、飯田市内で開催された。
国内外全16チームが参加。起伏の激しい山岳コースの同ステージは、標高561メートルの山岳ポイントまで勾配10%を超える急坂を駆け上がる。その山岳ポイントからは一転してカーブが連続する下りコースへ。飯田の食文化である焼き肉を楽しみながらの観戦で知られるが、選手らは、その焼き肉の香りにも耐えながら走る。下りの最後には名物のヘアピンカーブ「TOJコーナー」が待ち受け消耗戦となる。体力、集中力の限界に挑む過酷なステージが同ステージの特徴。
22日は日中の気温が27度を超え夏日に。色とりどりのジャージーをまとった選手たちは胸元のジッパーを開け、汗を流しながら下久堅の山岳コースを駆け抜けた。コースの沿道には市民や全国から集まった自転車愛好家ら2万人(主催者発表)の観客が集まり、例年以上の盛り上がりを見せた。
山岳ポイントの近くにある通称「焼き肉観戦ポイント」では、昨年から飯田エフエム放送がラジオの応援放送を届けた。番組では黒モツ、豚カシラ、南信州牛など焼き肉を食べて応援する様子や全国の自転車愛好家らの話で盛り上がった。飯田の自転車チームボンシャンス飯田に所属する田桐さんと浅井さんは「焼き肉もおいしいし、見ていて楽しいので最高。先輩の山田拓海さんも頑張ってほしい」とホームチームの「JCLチーム右京」や飯田市出身の山田拓海選手(シマノレーシング)などを力いっぱい応援した。愛知県東三河のブース出店で訪れた有城辰徳さんは「毎年飯田ステージは見に来ている。飯田と東三河は自転車を走る環境としては親和性がある」と東三河のツーリズムを呼びかけた。
レースを制したのは、中盤から逃げ切ったJCLチーム右京のシモーネ・ラッカー二選手。個人総合1位も同じくシモーネ・ラッカー二が逆転した。そのほか、ポイント賞もチーム右京のアレッサンドロ・ファンチェル選手、山岳賞も同じくニコロ・ガリッポ選手が獲得。JCLチーム右京が総合力の高さを見せた。飯田市出身の山田拓海選手は終始メイン集団に位置し、ステージ21位で完走した。個人総合順位は3分6秒差の22位。飯田にゆかりのある新城幸也選手(ソリューションテック・ヴィー二ファンティー二)は9年ぶりの参戦で43位完走。個人総合は26分57秒差の64位。
表彰式では、同ステージでの功績を称え、同ステージ実行委員会の熊谷秀男委員長が表彰された。熊谷さんは「TOJを誘致してから20年間の思い出がよみがえってきた。一緒に作ってきた仲間を代表していただいた賞で大変うれしい」と話す。