
日本画家の宮井啓江(ひろえ)さんの個展「小さな日本画展」が2月21日、高森町の複合施設「Daikokugura(ダイコクグラ)」(高森町下市田)で始まった。
築150年の納屋や蔵をリノベーションした同施設は昨年10月8日、カフェや、陶器や雑貨などの販売スペースの他、ゲストハウスなどから成る複合施設としてオープンした。ギャラリーとしての利用は今回が初めてで、以前からの同施設関係者との縁で宮井さんの個展が実現した。
個展について、「宝石のように見てもらえたらいい」と宮井さん。10センチ四方や3センチ×7センチなどの小さな画面の日本画40点ほどを並べる。「小さな作品ならすぐに描けるかと思ったが、同じ熱量が必要だった」と制作を振り返る。
作品には、雪の中に咲一輪の赤いツバキ、複数の鳥が夕暮れの山へ帰る景色、動植物や風景、仏画などを描いた。宮井さんは「この小さな画面の中に全てを込めているので、普段はやらないことをやったり、『これでいいのか』と何度も眺めたりして、通常の作品と同じような時間がかかった」と作品へ込める気持ちを話す。
円形の画布に描いた5センチに満たない白い猫の作品は、背景に青い岩絵の道具を使った。「小さな作品でも下絵を描き、集中力と緊張感を持って描き続けた。岩絵の具にはさまざまな粒子があり、粗い粒子はキラキラと輝く」と宮井さん。
額縁専門店「タクラマカン」(中川村)の松島拓良さんから以前贈られた3センチ×7センチほどの額をアトリエに置いていた宮井さんは「ふと、描けるような気がした」と昨年、本格的に小さな作品作りに着手。その他の額は、石の粉を使った粘土で自作している。
宮井さんは「岩絵の具の美しさが分かりやすい作品を描けたと思うので、ぜひ見てほしい」と来場を呼びかける。
営業時間は日によって異なる。入場無料。3月7日まで。